•  宜蘭駅を離れた車は田園が開けた道にはいった。遠くには山々が緑濃く連なって、台風が過ぎたばかりの空にはところどころに黒い雲が渦巻いていた。暗い外の景色とは一転して、車内はいつも明るかった。 車はミツル君のお父さんが運転して、助手席にはミツル君のおとうと君と後ろの席にミツル君のお姉さんとミツル君と僕が座った。今日のこと、ミツル君と約束していたわけではなかったんだけれど、いったいどういう風の吹き回しか... 続きを読む
  •  扉を開けると、隣の個室からあふれでる水は、正面の小便器ちかくにまで広がって大きな水溜りになっていた。その勢いはちっとも衰える様子はなく、行き着くところにまで、ただその領域を広げるばかりに見えた。 台北松山空港国際線の搭乗ゲートにいるので、事情を知らない外国人旅行客が誤って紙をトイレに流してしまったに違いなかった。東京行の便がすぐ後に控えていることからも日本人旅行客である可能性はかなり濃厚で、それ... 続きを読む
  •  台湾に来る数が多くなればなるほどそれだけ帰る数も多くなるということであって、僕なんてとくに台湾に住んでいるわけではないので、きっとそういうことだ。 しかし帰る段になると、決まって、何かをやりきったという充実感とホッと安堵する気持ちのほかに、どうも腹のずっと下あたりにぽっかりと空洞ができてすきま風が通り過ぎている、というような、妙に孤独でどこか寂しい想いが残るのであった。 だから、というわけでもな... 続きを読む
  •  そうしてブンちゃんが注文してくれたマンゴーかき氷がテーブルに運ばれた。かき氷とはいってみたもののよく見ると氷の部分があきらかに黄色く、いかにもマンゴーのあまい汁が混ざっているんだぞうという感じがどうも確信犯的だ。そうきたらマンゴーかき氷というよりもむしろマンゴーアイスといったほうが正しいのかもしれない。 さっそく真ん中あたりをスプーンでこわして、だいだい色の果肉といっしょに口にいれてみた。アイス... 続きを読む
  •  よく外国に行くとカラダの成分や物事の考え方がそっちのものに入れ替わってしまうというけれど、台南に来て一晩明けてみたら、自分にもそんな兆候がじわじわと顕著に現れてきたようで、なんでも台湾人のブンちゃんが話す言葉がぜんぶ日本語に聞こえてきた。と思ってみたけれど、そもそもブンちゃんは日本語の先生でもちろん日本語はペラペラなので、結局のところどうもそれは僕の勘違いらしいということがわかった。 そんなブン... 続きを読む

みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味。

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