台湾ちんほうちゃ日記

~ガイドブックにない無目的が目的の究極のひまつぶし~

アタマのコンクリとけだした

 左營駅から地下鉄にのって市議會駅のホテルに帰ろうと思ったころにはすでに午後の1時をまわっていた。

 朝メシ食べすぎの刑、ということでしばらく空腹の罰だったんだけど、もうそろそろ時効にしてもいいんじゃないかな。

 ホテルの近くになかなかうまい排骨飯の店があることを昨日リブヲから聞いていたので、ついでにホテルにもどってウンコもしたい。

 蓮池潭風景区をはなれ、高雄物産館の前に来るとけっこう交通量のおおい凶悪ナナメ横断歩道が待ちかまえていた。台湾の横断歩道はこわくて今でも慣れない。たまたま信号待ちをしていた男の子とその父ちゃんがいて、かれらの背中にくっついて、なんとか向こう側の歩道にうつった。

 Google先生の教えにしたがって、公園のなかの歩道をずんずん歩く。蓮池潭から10分くらいして、ようやく左營駅らしいものが近づいてきた。それは緑の草木にかこまれた薄グレー色の建物だった。

 その様子はいままでの記憶からほど遠いスガタカタチをしていたけど、入口の駅表示版は「おれ左營駅。文句あっか」と威圧的に正しい顔でたっていた。

 「ヘンだヘンだ。なんかヘンだ」いつもの左營駅だったらもっともっと車が通ってにぎやかな道路があったはずだし近代的なショッピングモールも近くにあったはずだけど、そんな気配はなんにもない。それに妙に静かで、黄色っぽく、なんとなく埃っぽい。どういうわけかじつに田舎くさいのだ。

 「ここはきっと駅の裏側なのだ。そうに違いない」僕は気をもちなおして改札につながる階段をのぼった。途中の壁に時刻表がはってあって、それのいちぶを抜粋するとだいたいこんな感じだった。


往高雄・枋寮方向

區間 13時 22分 屏東
區間 14時 02分 屏東
區間 14時 34分 枋寮
區間 15時 02分 屏東
 

 13時22分のはもう出ちゃったからつぎに来るのは14時02分だね。なるほど30分待てばよいのだ。30分か、うーむ。そのつぎも、そのつぎも、30分後じゃないのか。なんだなんだ。少ない。しかもなんか地下鉄っぽくないじゃないか。

 Google mapをひらいてみるとやはり左營駅で間違いない、しかしちょっとグリグリ範囲をひろげてみたら右上のほうに新左營駅というのがあった。地下鉄があるのはもしかして新しい新左營駅のほうじゃないのか。

 じっさい僕がよく使っているのはターミナル駅となっている新左營駅のほうで、台鉄以外にも地下鉄や新幹線が停まる。左營駅は台鉄の
區間車という各駅停車しか停まらない駅なのであった。

 なんてこった、まったく、なんてこっただ。せっかく来たのに。せっかく来たのに。いったいいったいどうなんだ。どうしてこうなるんだ。

 地下鉄も遠いし、もういろんなところが遠かった。真上にのぼった太陽は黄色い熱線をより強く均一におとしていた。もうこれ以上でる汗もなかった。そして腹は急速に減りだしていた。

***蓮池潭風景区~左營火車站***

左營駅



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風の方向に帰ります

 原生植物園から続いた歩道橋がだんだんと地上におりてくるとヤシ科の木とその向こうに水たまりが見えた。水たまりといっても近づいたらこれがまたけっこう大きな池で、なんだか見おぼえのある景色だなあと、もっと遠くの向こう岸あたりに目をやったら、黄と赤をこきざみに着色した塔が二つ並んで建っていた。

 「ああ、なるほどなるほどなあ。そうかそうか、そういうことだったのかあ」と、ついついため息がでた。

 いったい何がどう「そういうこと」なのか。この突発で意外な発見を今すぐだれかに知らせたくて仕方がなかったが、もっともだれにどう知らせればいいのかもよくわからないので、結局まあ黙って眺めているしかないのだ。

 池の名前は蓮池潭といって二つの塔は龍の塔と虎の塔の龍虎塔だった。台湾のどのガイドブックにも載っている高雄の由緒ただしき観光地で、左手の龍の口から入って右手の虎の口から出ると、災い去って福が来る、ということであった。

 自分のなかでいままで「点」だった場所が、ふいに、こうしてなんの関りもなく縦にも横にも「線」になって繋がってくると、やっぱり「なるほどだなあ」と感心してしまうのだ。

 太陽は相変わらず陰険な熱帯光線を放っていたが、ときおり水面からながれてくる生暖かい風がなんの目的のない頭に
いい塩梅に作用して、そのまま池の岸にそって歩いていた。

 途中で、高雄の名産、特産、土産物なんかを集めたオレンジ色の屋根の高雄物産館を過ぎて、またしばらくすすむと樹が生い茂る散歩道に通じた。ガジュマルの樹の下のベンチに座って、いったん汗をふいた。ペットボトルのお茶はもうなくなっていた。
 
 友だちに渡そうと思って持ってきた菓子はチョコが入ったものだった。こんな暑い日にチョコを持って歩くバカはさすがにいないだろうと思っていたが、それが自分だとはじめてわかって、また黙ってしまった。黙るといってもまわりに話し相手はだれもいないので、ひとりでうなずいている以外にないのだ。

 「チョコも溶けたし体温も上昇したしもう帰るかなあ」

 Google mapをひらくと「なんだコラ急に起こすなコラ」と、さっきまでいた原生植物園から蓮池潭へ、現在地ポインターがカックンカックンなげやりに移っていった。

 蓮池潭の近くには左營駅があった。なんだ近くにあるじゃないの。

 冷房がキンキンに効いた高雄MRTのプラスチックの座席にすわっているところを想像しながら、僕は小気味よい足取りで、風といっしょに駅の方向に歩いていった。

***蓮池潭にて***

蓮池潭1

蓮池潭2


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なぜかいつも炎天下にでてしまう

 高雄MRTの生態園区駅で降りようと決めたのは、たぶん自然とかあって樹木とかもけっこう生えて、そんなふうな日陰の下で午前のさわやかな風にあたってみたい気分もあったし、もしかしたら南国特有のあたたかで魅惑の風景写真が撮れるんじゃないかという期待もあったし、それになんといっても駅の名前がどこか野性的でなんとなく今の心境にぴったりだと思ったからだった。いったいどんな心境だ。

 ながいエスカレータを上がって出口を抜けると芝生のひろがりに出た。そのところどころに樹が植わっていたが、日陰になるものは乏しく、暑かった。朝メシを食っていたときは薄日だったのに、もう高曇りの太陽が白く均一にあたりを照らしはじめていた。歩いている人はいなかった。

 道路の向こうにコンビニが見えたので、とりあえずお茶のペットボトルを買って、店の外のテーブルで一息いれた。今日も暑くなりそうだった。

 スマートフォンで地図をひらいてみたが、すぐ近くに野性的ななにかを想起させるようなところは見当たらなかった。でもちょっと指でずらしていくと西の方向へ500mほど進んだあたりになにやら緑いろの一帯があった。もしかしてここが生態園かもしれないな。

 道路は日除けがなくただ車が走ることを前提につくられた平坦な道だった。暑い暑いと文句をいいながら、一方で、これは朝メシ食べすぎの刑であって、ある意味で罪滅ぼしなのだ。と己の心をだましだまし重い足をその新しい目的地に向かわせていた。

 しばらく行くと、都会なのに樹や背の高い草などが妙にうっそうと生い茂ったところに突き当たった。荒れくれた田舎の空き地みたいに無造作にボサボサしたところで、あまり手入れされてなさそうな感じが、リアルに野性だった。先には小さい歩道が続いていた。

 左營原生植物園は、名前のとおり自然にちかい原生植物の公園だった。園内は係員らしい人が清掃をしていて、実はけっこう整備されていた。

 水路をこえて端まで来るとフェンスの向こうに白地にオレンジストライプの電車がゆっくり走っていくのが見えた。それはよく自分が乗っている高雄台北とをむすぶ台湾新幹線だった。

 公園をつっきりふたたび道路に出た。らせん状の白い階段を上がると、歩道橋につながった。まるで蛇の道みたいになめらかにくねる幅のひろい歩道橋で、そのゆるやかに下降する先に屋根つきの休憩スペースが見えた。

 久しぶりにベンチに尻を置いて、体温と同じ温度になったペットボトルのお茶を喉にながした。歩いているときは気がつかなかったけど、LINEにメッセージが入っていた。

 「今日は仕事がまだおわらない。会う時間なくなった。不好意思不好意思」

 めんなさいごめんなさいと謝るコテイちゃんからの悲しいメッセージだった。

 そうかそうかそれは仕方がない仕方がないさ仕方ないんだよまた今度会おう。そう書いてメッセージを終えた。

 これからの行き先は、まったくどうも自由になってしまったな、と思った。同時につい今しがた所在をなくしてしまった菓子袋をながめて、はてさてこれからどうしたものかなあ、と炎天の屋根の下で思った。


***生態園区駅から左營原生植物園へ***

左營原生植物園-1

左營原生植物園-2


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朝だ起きたら朝メシだ

 朝起きて飲みかけの貢茶やら牡蠣風ポテチやら充電器やらが乱雑に積み重なった机の上のホテルの朝食券を見て昨日リブヲに教えてもらった朝メシ屋のことを思い出した。

 朝メシ屋と聞くと僕なんてはたいてい「なんだなんだ朝メシ屋ってなんなんだ朝メシ屋って」となるんだけど、日本にあまりなさそうで台湾によくあるものといったら、やはり朝食専門の朝メシ屋なのかもしれないな。ちなみに対極にあるのが居酒屋だったりするから朝メシだけの店があっても当然といえば当然だ。

 「言葉わからねえよう。ひとりで注文できねえよお」ってリブヲに助けを求めてみたが「なにも考えずに行列についてだまって食いたいもん皿にのせてレジまで持ってけ」と教えてもらった通りにやったらけっこう一人でも買えた。

 しかし最後のほうで会計のおばちゃんがタタミかけるように僕に何かを言うので「うぬうぬ」と適当に相づちしていたら、頼んでもないのになんだかでかい容器にたぷたぷ入った豆乳みたいなスープがでてきて「ああもうそれ以上は食えねえよ飲めねえよ助けてえ」とあわてたが、もう遅かった。

 果貿來來豆漿という朝メシ屋は六合のホテルから歩いてすぐのところにあったので、わりあいすぐに見つけることができた。店は朝5時から11時半まで営業しているというのでやっぱり朝メシ専門店なんだな。

 いろんなものを食ってみたかったので「とりあえずのっけてみました」となったが、これじゃあ炭水化物のオンパレードだ。それでもなかに野菜が入っていたし肉もごってりあったので、なかなかこれがバランス的に充実したメシだった。しかし充実しすぎて昼になっても腹は減りそうになかったが。

 暑い朝に熱い豆漿を飲みのみ汗をぬぐいつつ、そういえば午前中は特に予定もないことだし、運動もかねて高雄の街を散策してみようかなと考えた。

 ホテルにもどり身支度を整えたところで、高雄のコテイちゃんからLINEが入った。「仕事がはやくかたづいたら午前中に少し会えるかもしれないからあとでまた連絡する」とあった。僕は念のため空港の免税店で少し多めに買っておいた菓子折りを紙袋に入れて、最寄りのMRTの市議會駅へ向かった。

 さてこれからどこに行こう。どこで会えるかわからないコテイちゃんとはどこかで会うとしてもMRT線のどこかに乗っかっていさえすれば会うのはそれほど難いものではないだろう、と思った。

 MRTの中は冷えてともて気持ちがよかった。座席も空いて快適だ。毎日がこんな電車だったら通勤がどれだけ楽だろうかと思った。

 高雄MRTは主に赤の紅線とオレンジの橘線美麗島駅でそれぞれ縦と横に交差している。橘線に乗っていたがなんとなく紅線に乗りかえてみる気になって、最初に乗った市議會駅から一駅しかない美麗島駅のホームでいったん降りた。

 ステンドグラスの駅で、スマホやカメラが代わるたびに撮っているような気がするが、やはりというかしっかりと写真を撮ってから、紅線のホームへ歩いた。

***朝メシの果貿來來豆漿から美麗島駅へ***

高雄朝メシ1

高雄朝メシ2

高雄朝メシ3



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プロフィールです。

みのりおん

Author:みのりおん
台湾はちんほうちゃな食べ物であふれている。でもそこで出会ったのは、食べ物ばかりでなく、美しいシゼン、よく眠るイヌ、そしてとても優しいヒトビトだった。そのどれもが、明るくて、のんきで、楽しくて。そんな「ちんほうちゃ」な出来事を、とりためた写真の隅っこから、いつもニヤニヤしながら切り取っているんです。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味です。
※本ブログの登場人物は基本的にすべて仮名を使用させていただいております。

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