ぐるぐる夜市

 昨日の晩は張さんのおかげでけっこうな屋台メシを食べたような気がしたんだけれど、今日が台中にとどまる最後の夜であるならば、やっぱりアレに行かなきゃ台中はおわらない。

 僕らは集集線の一日旅をおえて今しがたやっと台中のホテルに戻ってきたばかりであった。その集集線車埕で遅い午後に食べた排骨飯の余韻がないといえばうそになるけれど、もうこれいじょう食えないかと聞かれるとそうともいいきれない。

 ペルオ君をふり向くと、彼もまたしずかにうなずいた。

 僕らは休憩している時間もつくらないままに、ホテル前でたむろするタクシーに乗り込んで、逢甲夜市の行き先をつげていた。

 逢甲夜市(フォンジャーよいち)は台中で最大の夜市といわれているだけあって、とにかくデカい。すぐちかくに大学もあるから、とりわけ若者がおおく、食いしん坊エネルギーで満ち満ちているのだ。

 交差点から続く、黄色や赤や青の明かりに照らされた通りは、まだ月曜日だというのに人でごった返している。もうとにかくいろんな屋台やら露店やらがところせましとならんで、陳列台の上は多種多様なものであふれていた。

 鶏の唐揚げに、イカ焼き、たこ焼き、てんぷら、おでん、かき氷、麺、焼き菓子、鉄板焼き。そしてわけのわからない料理たち。

 人の波にもまれながら歩いていくと、あちらこちらから台湾語や中国語がけたたましく飛びかい、いろんな色をした匂いのかたまりが、その喧騒をよりいっそう肥大化させているみたいで、くるくると目が回ってきた。

 そんな人びとの先に、大腸包小腸というなんだかあやしい名前の屋台があって、ひときわ長い行列ができていた。若い学生風の兄ちゃんがグリルの上のソーセージをつぎつぎにひっくり返している。

 僕らの順番になったので「ゼガー、アーガ」(これ、二個)と指を二本たてて注文したら、兄ちゃんは早口ことばで何かいっているみたいだったけれど、僕には何をいっているのかわからなかった。僕は「うんうんそうそう。まったくそうなんですよぉ」といかにもわかっているようにあいづちをしていたら、兄ちゃんはニッとわらって、それから紙に包まれたホットドッグみたいなものが二個でてきた。

 大きいほうの腸詰はもち米だった。もっちりとした歯ごたえを通りこすと、小さいほうの腸詰がプチンとさけ、香辛料の匂いにまじって甘辛い肉汁がにじみでる。ソーセージは濃密でかなりかみごたえがある。生ニンニクとあわせてかじれば、舌の先にピリッとした閃光がほとばしる。いっしょに挟まっているキャベツやキュウリの漬物もポリポリしていいアクセントだ。

 食べおわるかおわらないかのうちに、自分が知らないところでほんとうはひそかに腹が減っていたんだろうな、と思った。そして、もしもハラペコ中枢なんてものがあるとするならば、カラダの奥底の、どうもそんなあたりのところから、それまでねむっていた食欲が、ぐるぐるぐると加速しはじめてきているような気がした。


***台中の逢甲夜市にて***


ぐるぐる夜市



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台湾ちんほうちゃ日記


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みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味。

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