台湾ちんほうちゃ日記

~ガイドブックにない無目的が目的の究極のひまつぶし~

立つ鳥、跡を濁しますので

 台湾に来る数が多くなればなるほどそれだけ帰る数も多くなるということであって、僕なんてとくに台湾に住んでいるわけではないので、きっとそういうことだ。

 しかし帰る段になると、決まって、何かをやりきったという充実感とホッと安堵する気持ちのほかに、どうも腹のずっと下あたりにぽっかりと空洞ができてすきま風が通り過ぎている、というような、妙に孤独でどこか寂しい想いが残るのであった。

 だから、というわけでもないんだけれど、帰国のときはできるだけ早めに空港にチェックインして一人の時間をつくってその考えにじっくり向き合いたい、と思っている。そんなときによくやるのが、旅の感想文を書くことで、書きあげたら最後にSNSに発信したい。

 いったい今回はどんな言葉を残せるんだろうかと、今日も台北松山空港の国際線の搭乗ゲートで考えている。もっとも集中できる時間だった。

 今回の台湾の旅は事前に誰にも告知することなく突然に始まりました。二年前、初めて台湾を訪れたときの、原点に戻ったのです。当時は台湾の知識は全くといっていいほどなく、知り合いもいるわけではない、言葉も食い物も勝手も分かりませんでした。しかし、初めての台湾旅行で知り合った一人の台湾人の友達がきっかけで全てが始まりました。



 まだ旅行シーズンに入りきっていないロビーは静かで、頭の中のモノが小気味よく次々に文字に変換されていく。

 帰国して開始したfacebookが私の台湾探訪の始まりだったのです。今回は台湾の朋友に会うことは予定していなかったのですが、結局、一人で過ごす時間はほとんどありませんでした。facebookを通じて朋友がいつも連絡してくれて相手をしてくれて助けてもらっていたからです。日本人の中には台湾が好きで何度もリピートしている人がたくさんいますが、その理由は台湾人の気質にあるのではないかと思います。陽気で愉快で呑気なお人好しの性格に引かれるから、もう一度台湾に帰りたくなるのではないのでしょうか。私は台湾に初めて来てから二年足らずの初心者ではありますが、これが、八回の訪台を通じて導きだした私なりの結論です。



 とまあ、良いのかどうかは別にして、こんなふうに勝手に結論付けてしまった。でも本当にそう思うのだから仕方がない。僕はただ本当のことを書くだけだった。

 文章の途中ではあったものの、搭乗時間が迫っていることもあり、僕は台湾での最後のトイレを済ませておこうと立ち上がった。東京までおよそ3時間半の飛行中なるべくトイレは行きたくない。

 個室に座る目の前の扉には相変わらず「トイレットペーパーを便器に流してはいけません」という明快な絵と注意書きがあった。初めて台湾に来たときは「ずいぶん特殊だなあ」と思っていたこのお作法は、僕も慣れるまではずいぶんとその違和感に苦労したものだった。

 便器の上で感想文の続きを考えてみる。そんなこと、本当はしなくてもいいことなんだろうけれど、やっぱり感謝している気持ちはみんなに知ってほしい。

 しばらくすると、となりの個室からジャーという水を流す音が聞こえて、そのすぐ後にバタンと扉を閉める音が続いた。「もう時間かあ。ずっと後ろの席だから早めに搭乗口に並んでおこうかな」僕はズボンをずり上げチャックを閉めた。もう準備は万端。日本に着くまでトイレに行かない。

 そのとき、となりの個室からチョロチョロと清流のような水のしたたり落ちる小さな音が起こったことに気がついた。たぶん洗浄水か何かが時間が来たので自動で流れたんだろうな、と思いながらも、やはりふだん聞くことのないその異音に本能的に耳をすませてちょっと様子をうかがっていた。

 水のしたたり音は、急速に、バチャバチャと勢いのある落下音に変化した。それからその異音は、僕の足元付近の床のあたりに、やがて、はっきりと、具体的な形となってあらわれた。

***臺北松山機場国際線ターミナル***


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テーマ:エッセイ・散文 - ジャンル:小説・文学

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Author:みのりおん
台湾はちんほうちゃな食べ物であふれている。でもそこで出会ったのは、食べ物ばかりでなく、美しいシゼン、よく眠るイヌ、そしてとても優しいヒトビトだった。そのどれもが、明るくて、のんきで、楽しくて。そんな「ちんほうちゃ」な出来事を、とりためた写真の隅っこから、いつもニヤニヤしながら切り取っているんです。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味です。
※本ブログの登場人物は基本的にすべて仮名を使用させていただいております。

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