ゆるい空、ながれるもの

 南投集集線新北平渓線ときて、今日は新竹内湾線にのって内湾にきている。これらの路線はなんでも台湾三大ローカル線といわれているだけあって、車窓の風景や駅舎のたたずまいや列車の待ち時間といったそんないろいろなものが、ゆったりとした空気につつまれているようだった。

 そのどれもに共通していえるのが、暑い、ということだった。なにせ僕は7月や8月といったいちばん暑い時期に集中して台湾にきているので、そうなると単なる自分勝手であるから、結局のところ暑いなんて文句はいえないのであった。

 空はうすい雲がかかっているものの、そのうすくなったところから、真上の太陽がここぞとばかりに焼けくそ熱線を照射してきている。おまけに皮膚にまとわりつくような粘着湿度が上下左右にただよっているので、風が吹いても暑い。

 汗まみれの自分とは対照に、ブンちゃんとハイさんはいつもとかわらない顔で、汗をふきとるような気配は一向にない。やはり日本人に比べると、台湾人はそれほど汗をかかないようだ。
 
 あぢいあぢいと、暑さからくる無気力無抵抗なヘロヘロ液を脳髄に大量分泌しながら、にぎやかな老街を離れて、内湾吊橋を歩いた。橋の下をのぞくとたいして深くない川がながれ、ズボンをめくった子供たちがバシャバシャと水遊びをしている姿がみえた。

 橋のたもとの茂みをぬけると山の斜面に沿うように民家や民家兼珈琲屋といった建物がぽつぽつ建っていた。

 「さくらぎはなみち!」

 ブンちゃんがみる方向には「櫻木花道」と、それから「内湾珈琲」とかいた看板がつきででいた。

 「スラムダンクですよ。知ってますね?」

 そういえばそれはたしか昔はやった漫画じゃあないか。しかし僕はじっさいに読んだことはなかった。

 「それはおもしろいのかい?」

 「台湾人は皆知ってますよ。日本人のあなたが知らないのはおかしいでしょう」

 ブンちゃんは少し困ったふうに笑った。

 なるほど、これは、日本に帰ったら要チェックや。

 僕らはもうひとつあった吊橋でない大きい橋を歩いて、内湾老街にもどった。喉がかわいていたので、僕は駅ちかくの緑色の檸檬が並んだジューススタンドで愛玉という黄色いゼリー飲料を買って飲んだ。

 愛玉は身体の熱を冷ます効果があると聞いたことがあった。甘酸っぱい冷たい液が喉をながれて、一旦みぞおちの内側あたりで徐々に吸収されていく感触を頭の中で実感していると、どうやらそれは本当のことであるような気がした。

 帰りの復路の列車がけたたましい警笛とともにホームにはいったので、僕らは人びとの群れに混じって、せまい改札をぬけた。

***内湾老街の内湾吊橋から***


内湾吊橋2



ブログランキング・にほんブログ村へ

台湾ちんほうちゃ日記

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味。

最新記事一覧

風景区の止みきれないさびしさ 2018/05/21
ながれながれて新店線 2018/05/18
象山から、シーンをつなげ! 2018/05/12
巡りあわせと選択のなかで、記録をとめない 2018/05/06
車輪のいいわけ 2018/04/30
屋根にキリンがいないころ 2018/04/22
1/13サヨナラノート 2018/04/15
地下の誠品R79 2018/04/08
夜がおわるまで 2018/04/01
高は高雄の高 2018/03/25
おでん屋のマナー 2018/03/18
金魚れもん 2018/03/11
排骨と飯と午後の予感 2018/03/04
アタマのコンクリとけだした 2018/02/25
風の方向に帰ります 2018/02/18

Twitter

ブログ村

メールはこちらから☆

mvcos.infini@gmail.com

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR