ルート306の挑戦

 台中駅からバスで清水まで行ってそこでまたバスを乗り換える、というルートが、高美湿地への行き方としてこの昼さがりの時間帯においてとりわけ効率がよくて正しいやり方のようだった。

 そのバスの発着場はタクシーを降りた駅の側じゃなくて線路を隔てた反対側の方面にあるらしかったので、僕らは、まだ完全に完成しきったとはいえない駅の連絡通路をくぐって構内からでた。思っていたよりもけっこう歩くんだな。額の玉のような汗をぬぐいつつふと後ろを振りかえるといつかどこかでみたレンガ造りの駅があった。やっぱりここは由緒正しき台中駅だったんである。

 駅としての機能はおそらくもうほとんど新しい駅に移行してしまったはずなのに、まだこうして昔の駅舎が存続しているのをみると、なんだか少し安心したような気持ちになる。それから、たった3年間という時間でも、ずいぶんと風景をかえてしまうものだなと思うと少し寂しくなった。

 そんな古い台中駅に面して台湾大道一段というひときわにぎやかな通りが垂直に延びている。ブンちゃんはさっそく通行人に清水行きのバス乗り場の聞き込みを開始した。自分は台湾にいてわからないことがあるとなんでもすぐに人に聞くけど、もしかしたら台湾人も同じようにすぐに人に聞くのかもしれない。いつでもどこでも気軽に他人に声をかけることができる環境。フツーのことなんだけど、なんかうらやましいな。

 そうして、306番のバス停から14時20分に清水行きのバスがでることがわかった。今からあと一時間くらい間があるし、まだ昼飯を食べていなかったので、サクッと入れる店でできるだけ簡単に済ませようとブンちゃんと店探しをはじめた。

 実は台中に着いてからずっと違和感を感じていたことがあって、それは道行くおおくの人たちの言葉や顔つきが台湾人のそれとは明らかにちがっていることだ。どちらかというと東南アジア系と思われる人たちが、すさまじい確率で混ざっている感じだ。

 繁華街をぬけるとまたしてもレンガ造りの通りがあらわれた。もうとにかくたくさんの人でごった返している。宮原眼科というアイスクリーム屋さんで、もうとにかく人気すぎて、なかに入っていく気も起こらない。5年ほど前にいちど入ったきりで、僕には、もう遠い存在になってしまった。

 造りがおしゃれでなんとなくファーストフード店みたいな飯屋に、なんとかテーブルの空きがあったので、そこで排骨丼みたいなものを注文してそいつをかきこんだ。

 バス停に戻ると、清水行きのバスはほとんど時刻どおりにやって来た。

 サングラスにキャップをかぶり日焼けした厳つい兄ちゃんがハンドルをにぎっていた。筋肉の締まった二の腕を左におおきく歪曲するといっきにアクセルを踏みこんだ。そして、信号が青であるかぎりどんどん飛ばしていくぞ、という凄みがあった。

 この怖い気持ちとワクワクする感じ。こうなると、バスはもう単に移動のための手段というより、むしろエンターテイメントのそれに近いものだった。

***台中駅から清水へ***

ルート306-1

ルート306-2

ルート306-3




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台湾ちんほうちゃ日記

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みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
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