なぜかいつも炎天下にでてしまう

 高雄MRTの生態園区駅で降りようと決めたのは、たぶん自然とかあって樹木とかもけっこう生えて、そんなふうな日陰の下で午前のさわやかな風にあたってみたい気分もあったし、もしかしたら南国特有のあたたかで魅惑の風景写真が撮れるんじゃないかという期待もあったし、それになんといっても駅の名前がどこか野性的でなんとなく今の心境にぴったりだと思ったからだった。いったいどんな心境だ。

 ながいエスカレータを上がって出口を抜けると芝生のひろがりに出た。そのところどころに樹が植わっていたが、日陰になるものは乏しく、暑かった。朝メシを食っていたときは薄日だったのに、もう高曇りの太陽が白く均一にあたりを照らしはじめていた。歩いている人はいなかった。

 道路の向こうにコンビニが見えたので、とりあえずお茶のペットボトルを買って、店の外のテーブルで一息いれた。今日も暑くなりそうだった。

 スマートフォンで地図をひらいてみたが、すぐ近くに野性的ななにかを想起させるようなところは見当たらなかった。でもちょっと指でずらしていくと西の方向へ500mほど進んだあたりになにやら緑いろの一帯があった。もしかしてここが生態園かもしれないな。

 道路は日除けがなくただ車が走ることを前提につくられた平坦な道だった。暑い暑いと文句をいいながら、一方で、これは朝メシ食べすぎの刑であって、ある意味で罪滅ぼしなのだ。と己の心をだましだまし重い足をその新しい目的地に向かわせていた。

 しばらく行くと、都会なのに樹や背の高い草などが妙にうっそうと生い茂ったところに突き当たった。荒れくれた田舎の空き地みたいに無造作にボサボサしたところで、あまり手入れされてなさそうな感じが、リアルに野性だった。先には小さい歩道が続いていた。

 左營原生植物園は、名前のとおり自然にちかい原生植物の公園だった。園内は係員らしい人が清掃をしていて、実はけっこう整備されていた。

 水路をこえて端まで来るとフェンスの向こうに白地にオレンジストライプの電車がゆっくり走っていくのが見えた。それはよく自分が乗っている高雄台北とをむすぶ台湾新幹線だった。

 公園をつっきりふたたび道路に出た。らせん状の白い階段を上がると、歩道橋につながった。まるで蛇の道みたいになめらかにくねる幅のひろい歩道橋で、そのゆるやかに下降する先に屋根つきの休憩スペースが見えた。

 久しぶりにベンチに尻を置いて、体温と同じ温度になったペットボトルのお茶を喉にながした。歩いているときは気がつかなかったけど、LINEにメッセージが入っていた。

 「今日は仕事がまだおわらない。会う時間なくなった。不好意思不好意思」

 めんなさいごめんなさいと謝るコテイちゃんからの悲しいメッセージだった。

 そうかそうかそれは仕方がない仕方がないさ仕方ないんだよまた今度会おう。そう書いてメッセージを終えた。

 これからの行き先は、まったくどうも自由になってしまったな、と思った。同時につい今しがた所在をなくしてしまった菓子袋をながめて、はてさてこれからどうしたものかなあ、と炎天の屋根の下で思った。


***生態園区駅から左營原生植物園へ***

左營原生植物園-1

左營原生植物園-2


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みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
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