排骨と飯と午後の予感

 左營駅のあたりで帰りの道がわからなくなり結局途中でタクシーをひろって高雄MRT市議會駅ちかくのホテルに戻ってきたのである。

 やるせない気持ちで頭の上から常温シャワーをガシガシながしていると、午前中歩きづくめだった体がフシギに開放的にかるくなっていった。

 それから、また外にでた。

 とおりの角をいくつか曲がってリブヲから聞いていた新百齡排骨大王という店についた。大王といわれるとなんか強そうで、注文の仕方をちょっとでも間違えようものならたちどころに怒られそうだ。

 午後も2時半を過ぎていたためか、先客は3人だけで、僕は4人掛けのテーブルを一人で専有することになった。

 見るからに大王のようないかにもこわそうな顔をした店主がテーブルにやってきた。

 僕はあわてて店の名前にもなっている排骨を注文した。そうしたら「飯か麺か!フンフンっ!」と詰めよられるような感じで僕はかんがえる余裕もなく飯のほうを指した。大王は再びフンフンっと鼻息をあらげて湯気の立ちのぼる調理場にもどっていった。どうやら飯か麺かの二択になっているらしい。

 僕はふだんは昼メシはかならず大盛りにするんだけど、そんなこといえたもんじゃない。しかし大盛りしなかったことはこの後のことをかんがえると実はちょっと正解だった。

 でてきた排骨飯は、飯と肉が別皿になって、僕にとってはじめて見るタイプの盛り付けだった。さらに飯のうえには大量のゆで野菜がのっかっている。店の看板にも35年老店(2017年7月)とあったのできっと35年間ずっとこの方法をまもってきたんだな。

 排骨は大王の名前にふさわしく力強くたくましい匂いとうまみが染みて、でも意外にもさくさくしてやわらかかった。スープは香り高きカツオだしだ。

 店をでるとき、僕はおそるおそるほぼ唯一知っている台湾語で「ちんほうちゃ」といった。すると大王は急にニコやかになって「シエシエ(謝謝)」と顔を赤くした。大王はとてもやさしかった。

 スマホに高雄のトマス君からメッセージが入っていた。僕はさっき排骨飯を写真に撮ってSNSに投稿していたので、僕が高雄にいることに気がついたようだった。

 「みのさん来ていたか。今日会えますか今日会えますが今日会えますか?午後に会社を休みますように上司に説得していますよ。会ってください会ってください」

 僕に会ってくださらない理由なんてどこにもないし、このような急速な展開はいつも予測しているので、すぐにOKし、待ち合わせ場所とだいたいの時刻を確認した。

 ふと、さっきSNSに投稿した排骨飯に「感恩」とコメントがついた。それは新百齡排骨大王の公式アカウントからだった。

 空が一瞬青く晴れあがった。高雄滞在の最後の一日となった残りの今日が、これからいったいどういう展開にころがっていくのか、僕はなんとなく新しい出発を遅い午後の空に予感していた。

***高雄の新百齡排骨大王~市議會駅付近***

新百齡排骨大王



ブログランキング・にほんブログ村へ
台湾ちんほうちゃ日記

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味。

最新記事一覧

渓頭往きのバスが満席だから 2018/06/20
プラットフォームは向こう側 2018/06/13
たおれるくらいの酒の量 2018/06/08
昌平路のガチョウめし 2018/06/01
台中追分途中下車 2018/05/27
風景区の止みきれないさびしさ 2018/05/21
ながれながれて新店線 2018/05/18
象山から、シーンをつなげ! 2018/05/12
巡りあわせと選択のなかで、記録をとめない 2018/05/06
車輪のいいわけ 2018/04/30
屋根にキリンがいないころ 2018/04/22
1/13サヨナラノート 2018/04/15
地下の誠品R79 2018/04/08
夜がおわるまで 2018/04/01
高は高雄の高 2018/03/25

Twitter

ブログ村

メールはこちらから☆

mvcos.infini@gmail.com

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR