渓頭往きのバスが満席だから

 台湾に来るとたいていなんの考えもなく方々をウロツキまわっているわけなんだけれど、今回ばかりは行ってみたいと思うところがあって、台中に行こうと決めたのもそんな理由からだった。

 台中はおもっていたとおり今日も暑くはげしく照りかえっていた。しかし、今日がいつもと違う気分でいられるのは、これから向かおうとしている渓頭というところが、台湾随一の避暑地であることをインターネットで発見していたからだった。

 南投県にある渓頭へは台中からバスで行ってその日のうちに帰ってくることができる。以前にも台中から集集線に乗って行った先が南投だったし、日月潭も南投だった。とかく南投台中から行きやすい。

 そんな涼しくてとっておきな渓頭往きのバスが出ているのが高鉄の台中駅で、昨日台北から来るとき乗り換えした台鉄の新烏日駅からも歩いてすぐのところにあった。

 台中駅の旧駅舎をとおり抜けて新駅舎の改札まで歩く。巨大で近代的な駅にすっかり様変わりしてしまって、ここはほんとうに台中駅なのかと妙に感動すらしてしまった。

台中駅から高鐵1

 台中駅から電車ではしること10分。新烏日駅のホームを進んで階段を上り改札を抜けて高鉄に続く連絡通路を歩いてそのまま地上階にあるバス乗り場に向かった。

台中駅から高鐵2

 受付の係の人に渓頭と書いた付箋紙を見せたところ、渓頭往きバスは今日はどれもすべて満席でもうこれ以上の空きがない、というような答えがかえってきた。

 中国語で言われたのではじめ自分の聞き間違いかと思ってただうなずいていたら、日本語ができるというお姉さんが笑顔でやってきて、やはり、渓頭往きのバスは満席で乗れない、と言った。

 僕は予定外のデキゴトに一瞬うろたえ、しかしうろたえたところでどうにでもなるわけでもないので、またホテルにもどってアイスでも食べなら一から出なおそうと即座に前向きに考えを改めていたところ、そんな僕の困ったような様子に見かねてなのか、お姉さんは「清境農場往きのバスはまだ空いていますよ。こっちも渓頭と同じく涼しくて綺麗なところです」と言ってパンフレットにさらさらとヒツジの絵を描いた。

 この突然の提案に、僕は、農場だったら日陰がないぶん暑いんじゃないかと「暑い暑い」と繰りかえし主張を試みるが、それに対してお姉さんは「涼しい涼しい」を連呼し、それから「清境農場往きのバスは今すぐに発車しますよ」と続けて言った。

台中駅から高鐵3

 清境農場がどんなところなのかもう少し聞いておきたいことがあったし、やはりこういうことは少なくともスマホで下調べくらいしておくのがきっと正しい旅のカタチなんだろうな、といくつかの気がかりを点々と心に残しつつも、あれよあれよという間に片道254元の料金を支払い、乗車券を受け取り、わけのわからないままひらかれたバスの扉の向こうに僕はもう乗り込んでしまっていた。

台中駅から高鐵4

***台鉄台中駅から高鉄台中駅のバス乗り場へ***



ブログランキング・にほんブログ村へ
台湾ちんほうちゃ日記

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味。

最新記事一覧

渓頭往きのバスが満席だから 2018/06/20
プラットフォームは向こう側 2018/06/13
たおれるくらいの酒の量 2018/06/08
昌平路のガチョウめし 2018/06/01
台中追分途中下車 2018/05/27
風景区の止みきれないさびしさ 2018/05/21
ながれながれて新店線 2018/05/18
象山から、シーンをつなげ! 2018/05/12
巡りあわせと選択のなかで、記録をとめない 2018/05/06
車輪のいいわけ 2018/04/30
屋根にキリンがいないころ 2018/04/22
1/13サヨナラノート 2018/04/15
地下の誠品R79 2018/04/08
夜がおわるまで 2018/04/01
高は高雄の高 2018/03/25

Twitter

ブログ村

メールはこちらから☆

mvcos.infini@gmail.com

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR