金針山ゆきずりバスツアー

 ほんの些細な気まぐれから始まった太麻里金針花季半日遊バスツアーは、会社員おとっつあん二人組、わんぱく坊主とその母親、夏休み仲良し女子高生、水入らず旅な親と子供、なにか訳あり一人旅風の女、そして行き当たりばったり無目的無思考無関心アホ顔日本人の僕、といった出所バラバラ多種多様人物の面々を引き連れて、各所ポイントを通過しつつ、あれよあれよという間に金針山のてっぺんまでやってきたのである。

 この日はまさに台湾北東部の広い範囲で非常猛烈強烈台風が猛威を振るっていたこともあり、たとえ遠く離れた南部台東であっても、山に登るなんて頓狂な発想はどう考えても尋常でない、ということを各地台湾友人のSNSから聞かされてはいたものの、ホテルにじっとしても仕方がない、と思った僕は台東市から市バスに揺られて太麻里にて途中下車、たまたま駅構内に貼ってあったポスターと人のいい駅員さんとのたわいのない会話で導かれた山登りバスツアー、という顛末なのであった。

 山肌のいたるところに金針花が咲いていた。金針花はユリ科の花で、7月から9月の夏の時期に開花するということである。こと太麻里に関しては台湾三大金針山といわるくらいの名産地であった。そしてつぼみは食べることができるという。そういえば山登りの途中で、揚げ物の露店を見かけたが、あれが金針花の唐揚げだったんだなあ、と後悔してみたけど遅かった。

 山頂では筋肉たくましい長髪色黒の大きな男が、マイクロバスが停まる横で拡声器を振り回しながら、山々に反響するくらいのこれまた大きな声でガイドをしていた。ときに冗談や演歌なども交えて、ときどき見物客からどっと笑いが起こるものの、もちろん僕には分からない。

 さらに高い位置に円形状の屋根が立つ展望台のようなところが見えた。他のバスツアーの人たちとすれ違いながら、石造りの階段をどんどん上がって行くと、下界のずっと遠くに広く太麻里郷を見渡すことができた。麓にいたころよりもいくぶん空気が冷たくなっていて、半そでTシャツ一枚の僕には少しこたえた。

 バスは太麻里の郷公所に戻った。いわゆる町役場で、金針山のバスは今からおよそ3時間前にこの駐車場から出発したのであった。さっきまでバスで一緒だった人たちはお互いに打ち解け、出身地を聞きあったりと、和気あいあい最後の会話を楽しんでいる様子だった。

 夕暮れの時間になり、それではお元気で、とみんなそれぞれ帰る方向に別れていった。僕は台東市内のホテルに戻るため、ひとり太麻里駅へ向かった。

***台東の太麻里で***



金針山


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台湾ちんほうちゃ日記

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みのりおん

台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロとあるきまわる無気力無思考無頓着なタワイモナイ日々をなけなしの写真とバカな文章でただひたすら書きつづけます。
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