台湾ちんほうちゃ日記

~ガイドブックにない無目的が目的の究極のひまつぶし~

冷熱冰を求めて

2013年8月17日 屏東

高雄から台鐵に乗って30分を過ぎるころ駅に到着した。

列車の冷房で冷え切った体を潮州の熱風が容赦なく溶かしにかかる。

ここは台湾南部の屏東市。目的はかき氷だった。

なんでもここのかき氷は、氷の具が熱いという話だった。熱いというのは例えで、食べる頃は氷に溶けて温かい。

駅の売店のお姉さんにかき氷が食べられるお店の場所を尋ねたら簡単な地図を書いてくれた。

お礼を言い地図に記してある道を進んだ。

8月正午の屏東である。日陰をつくれない低い建物がまばらに続いている。

犬が死にそうな顔してよだれを垂らしている。人通りは少ない。

そして目的地には一向に着かない。

着かないどころか目印に教えてもらったケンタッキーフライドチキンがいつまで経っても現れない。

まして見渡す限りの田舎の民家である。そんなハイカラな商業施設があるほうが不自然だ。

私はまったく違う方向に歩いていた。

ぐるぐると周り回った後、ようやく元来た駅に戻り、今度は駅を通過して先とは反対の方面に向かって歩いた。

汗はとうに枯れている。ペットボトルの水も底をついた。

民家の軒先で、兄ちゃんと家族とおもしき人が会話しているのが見えた。

これ以上灼熱の太陽に耐える自信はなかった。そのうえ方向が正しいかどうかも分からなかった。

思い切って尋ねてみることにした。

言葉の分からない私はガイドブックのかき氷の写真を指さした。

兄ちゃんは  おおっ  とすぐに事の状況を理解し、向こうだと方角を示した指を、そのまま隣にあったバイクの後ろ座席に移した。



            乗りなっ



甘いシロップに溶け崩れる氷の下から、作りたての白玉、湯圓、紅豆、小豆、芋が次々に現れてくる。

もちもち歯ごたえの隙間から半溶けの氷水が丸い甘みをのせて喉を滴り落ちる。

不釣り合いに見えるこの組み合わせが、絶妙なバランスを以て一つの食べ物を完成していた。

今までに経験したことのない違和感が、斬新さが、爽快感が、水分を出し切った身体の全体にしみ渡っていくのを感じた。

くたびれた身体に生きる元気をくれたかき氷の温もりは、見知らぬ外国人をバイクで助けてくれた、あの気のいい兄ちゃんの笑顔と重なったんだよなあ。



冷熱氷



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南廻線の車窓から

2012年7月9日 屏東

高雄台東を結ぶ台鐵、屏東線~南廻線の車窓には、大自然が作り出す珠玉の絵画が広がっている。

私の隣に座る窓側の少年が、スマートフォンのカメラを構える私に気が付いたのか。

閉めていた日除けのカーテンを全開にしたのだ。

少年とは顔を合わせることなく、会話をすることもない。

そんな無言の交流が最後まで続いていた。

大きな窓ガラスに映る台湾の自然はとても美しかった。

それよりも、日本と台湾の、国を超えた心の交流に、何にも代え難い絆の美しさを覚えたんだなあ。


南廻線の車窓から



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みのりおん

Author:みのりおん
台湾はちんほうちゃな食べ物であふれている。でもそこで出会ったのは、食べ物ばかりでなく、美しいシゼン、よく眠るイヌ、そしてとても優しいヒトビトだった。そのどれもが、明るくて、のんきで、楽しくて。そんな「ちんほうちゃ」な出来事を、とりためた写真の隅っこから、いつもニヤニヤしながら切り取っているんです。
※ちんほうちゃは台湾語でとても美味しいの意味です。
※本ブログの登場人物は基本的にすべて仮名を使用させていただいております。

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